KODAK Signet 35 初めてのMade in USA
私にとって初めてアメリカ製カメラです。
購入は有楽町のダイヤモンドカメラさん。
メジャーなライカから中判カメラ、ステレオカメラ、豆カメラに至るまで他ではあまり見かけないカメラや小物類が充実していたカメラ屋さん。
残念ながら今年閉店されてしまいましたが、有楽町に寄ってはショーケースを眺めるのが好きでした。
ショーケースの中でいつも目に留まったのがシグネット35。
他の店では1台あるか無いかなのに、いつも複数台並んでいたためでしょうか。
正直本などで見た時はその独特なデザインも相まって、それほど興味があるカメラでは無ったです。
しかし写真で見るより小さくて可愛く、金属の地金のそのままな鈍い輝きは思いのほか魅力的でした。
私の中でいつしかダイヤモンドさんと言えば・・・なカメラになっていました。
閉店されるとの報を聞いて思い浮かんだのもこのカメラ。
私が買いに行ったときにはショーケースのカメラもだいぶ減っていて、シグネットも最後の1台。
状態も問題なさそうだったので購入することしたのでした。
Kodak Signet35

アルミダイキャストの素材そのままな外装。
購入前、初めて手に取った時、そのがっちり感に驚きました。
どうもアメリカ製カメラというと大量生産で大雑把なイメージ(アーガス当たりのイメージでしょうか)だったのですが、思いのほか造りが良くて感心。
特に肉厚のアルミダイキャスト製の裏ブタの造りがグッときました。
軍用仕様も有るのですよね。これならなんだか納得できる感じがします。

シンプルな上面。
左が巻き戻し、右が巻き上げのダイヤル。
大型で操作しやすいのだけど、巻き戻しにはかなり回さないといけない(時間がかかる)のはご愛敬。
中央がカウンター。

底面は樹脂製。
前後の淵に小さなレバーがあり、正面側が多重露光防止機能の解除、背面側が巻き戻し時のロック解除用。これはこの画像より正面と背面の写真の方が分かりやすいですね。

背面。
露出計算板付。
スライドさせて条件をセットすると適正なシャッター・絞りの組み合わせを算出できる。大抵は換算表な事が多いですが、面白い機構です。

背面から見て右側面。
ストラップ取り付けを兼ねた裏蓋をロックしている部分。
四角いボタンを押して下にスライドするとロックが外れて裏蓋が開放されます。

裏蓋は分離するタイプ。
ダイキャスト製で恐ろしくガッチリしている。
個人的にグッとくるポイント。
圧版が鏡面仕上げでピカピカ。
あと、裏蓋周辺にモルトは使われていないのよね。
精度が高いという事でしょう。

レンズ周り。
写真左側の大きなレバーがレリーズレバー、その下に小さく見えているのがピントノブです。中央付近(レンズの上の方)に有るのが絞りレバー、さらに右側に有るのがシャッターチャージレバーです。
古い中判カメラを使っているとおなじみの、巻き上げとシャッターチャージが独立してタイプです。(セルフコッキングではない)
巻き上げとシャッターチャージを1枚ごとに操作する必要が有りますが、多重露光防止装置は付いているので、意図せずに重写しになる事は無いです。*1
なお、シャッター速度は1/300、1/100、1/50、1/25の4段階のみ。
レンズの開放F値が3.5なことも相まって暗いところでの撮影は難しいです。
高感度フィルムを詰めると今度はシャッターと絞りが追い付かなくなります。
明るいところではNDフィルターを使えば良いのかもしれませんが、そういうカメラでは無い気も。

名玉として名高いKodak Ektar 44㎜ F3.5。
ちなみにシリアル番号冒頭のアルファベット二文字で生産年が分かるそうで、このカメラはRM→1953年との事。*2

このカメラ距離計連動機ながら最短撮影距離が2feet、60cmまで寄れるのです。
手元のものもとりあえずは撮影可能なのでかなり使い勝手は良いです。
テーブルフォトも撮影可能・・・な筈ですが、前述の通り暗いところが苦手なカメラなので室内の撮影は厳しいです。
ピントノブの操作感もとてもスムーズ。
軽く回るのにスカスカな感じではなく、ボールベアリングが入ったようなコロコロした感触。
どうなっているのだろう。*3

カウンターは減算式で自動リセットは無し。
フィルム装填後、自分で撮影枚数にセットする。

このカメラはキャップが付いていませんでした。
カメラ屋さんも見たことが無い代物らしいです。
ただ、コダックのフィルムケースの蓋がジャストフィットとの事でおまけでつけてくれました。

ぴったり。ある意味純正キャップ。
28.5mm辺りの被せキャップを探せば使えそうな気もしますが、当面はこれでOKでしょう。
今は無いシールが泣かせる。
ローラ35との比べてみる。
小型の35㎜コンパクトカメラと言えばローライ35。
比べてみました。


シグネット35は手に取ると小さいカメラなのですが、ローライ35と比べてしまうと流石に一回り大きいです。
機能面ではシグネットが連動距離計付き、最短撮影距離60㎝がアドバンテージ。
一方、ローライ35は目測・最短撮影距離が90㎝な代わりに露出計とセルフコッキング、スローシャッター、カウンター自動リセットとてんこ盛り。
ローライはよくこのサイズでこれだけ詰め込んだな・・・という感じがしますが、シグネットの連動距離計付というのはとても大きいです。
キッチリピント合わせが出来る分、とても安心感が有るのですよね。
性格が違うカメラという感じです。
ローライ35は距離計が無い分割り切ってパスパス撮る運用になるのであれはあれで楽しいのですけどね。
両方とも好き(笑)
試写
購入後早速試写。
次の目的にに向かいがてら適当に撮ってみた。
フィルムはColorPlus200。
季節は春。

1stショット。
発色良いですね。ビルのタイルもしっかり写っていて感心した。


高架の鉄骨とラーメン屋の組み合わせが好きなポイント。


カニの甲羅や汚れた感じも良く出てくれてる。



ベンチマークにしている景色。

中央部拡大。
道路の奥の電柱の写り具合でなんとなく中心の実力が分かる気がするのです。
かなり細かく写るレンズだと思う。とても好み。


コーティングも入っているので逆光気味でも安定していると思う。

これはちょっとフレアっぽい?

この発色も素晴らしいなと。


お気に入りショット。
凄くコントラストが出ていて当時の雰囲気が凄く出ていると思う。
"抜け"が良いというのはこういうことを言うのかな。

自然も行けるのではと。
桜の柔らかい色もしっかり出てくれているのもコーティングのお陰かな。




このカメラの最大の強みは寄れる事だなとおもう。
これだけよれれば取りあえず



たまにフレアっぽくなるのよね。
画面外を含めて上側にハイライトが有ると影響が出る感じもするので、内面反射が影響しているのでは・・・という気がしています。
私が持っている個体は鏡胴内部が結構ツヤがあるのでそのあたりも怪しいなと。

花びらやコンクリートの質感も良い感じ。

ド逆光だと流石にフレアが。
内面反射対策でどこまで強くなるのかも楽しみだったりします。
今回はフードはつけずに撮影しているますが、適当なものを装着するだけでも違うかもしれませんね。
まとめ。
小さくて、手触りもカッチリしていて撮影していても楽しかったです。
ハンドストラップ運用しているのですが、片手に持ってうろうろするにも丁度よいサイズ感。
距離計連動かつ寄れるのも大きいですね。
44㎜という画角も相まって、とりあえずなんでもこなせる(暗いところ以外)ので、撮っていて不安になる事が無い感じ。
写りも安定しているのもすごく良いなと。発色も凄く良いと思う。
フレアの対策をすればさらに安定しそう。
近々ちょっといじってみようかと思っています。
この個体、最後に残った1台というわけで不安がないでもなかったのですが、整備済みだけあってとても良い状態でした。
ファインダーの透明感も気持ちが良い。
カメラ屋さんの整備済み品は流石だなと思います。
”とりあえず動く”のとはわけが違う。
正直安く買おうと思えばもっと安いところはあったと思うのだけど、状態が良くて気持ちよく使えるカメラを購入するならクラシックカメラに強い専門店一択だと思う。
中古カメラ店でも大手だと現状品が良い値段で売っていたりしますからねぇ・・・。
ダイヤモンドカメラさん、ありがとうございました。
昔からのクラカメに強いお店もどんどん減っているので寂しい限りです。
*1:フィルムを巻き上げないとシャッターボタンが押せないようになっています。
底面付近にあるレバーを操作することで巻き上げずともシャッターを切れるようになるので、多重露光をしたい場合はこちらを使います。
*2:シリアルの"C" "A" "M" "E" "R" "O" "S" "I" "T" "Y"がそれぞれ"1" "2" "3" "4" "5" "6" "7" "8" "9" "0"に対応しているとの事。
このカメラは「RM」から始まるので「53」となり1953年であることが分かります。
*3:本当にベアリングが入っている模様。
凝ってるなぁ。
ちなみにこれが軍用シグネット。
黒も良いなのですよねぇ。