M4入院となりました。
撮影画像にシャッターの走行方向に向けて薄っすらスジが出てしまうのです。
以前気になってみてもらったのですが、直っていなかったのか現象が再現。再度見てもらうことになりました。
それなりに古いカメラなのでそんなことも有るでしょう。
前回修理に出したとき、その期間使いたいレンズ(Elmar3.5cm)が使えないのはちょっと困ったので予備のカメラを検討、準備してきました。
そして丁度M4と入れ替わるようにやってきたのがLeica Ⅲfでした。
何故バルナックライカ?
単純に予備というと同じ型、M4のシルバー辺りが順当でしょう。違うレンズを付けで同時運用、というのも狙えます。
しかし、M4は白でもそれなりのお値段が。
ここ数年の散財が祟ってもう無理ができなくなっているので、ちょっと厳しい。
現有M4が返ってした時、実際に同時運用することは中々ないでしょうし、純粋な予備として配備するには相当な覚悟が必要です。(やろうと思えばM11で出来ないこともないのですが、案外難しかったのです。)
そんなわけで、バルナック型が浮かんできたのでした。
バルナックならエルマー35mmも問題なく使え、M4とは操作感も違うので気分転換に使うこともできるでしょう。
そして、10万円以下で買えるモデルが多いのも嬉しいところ。
バルナックはローライ35と同様にいつかは欲しいと、ちょこちょこ検討はしていたもの。
気になっていたの4モデル。
DⅢ、Ⅲa、Ⅲf、Ⅲgでした。
どれが良いのか。
それぞれの私的気になるポイント。
DⅢ
ブラックペイントなライカ。
M型ではもうしんどい価格のブラックペイントもバルナックならまだまだ買える値段。
黒ならDⅡも選択肢でしょうが、実用するならアイレットが無いのはしんどいのと、スローシャッターダイヤルは有ったほうが好みなのです。
Ⅲf等に比べて若干小さいのも良いですね。
ノブ周りがニッケルメッキのモデルも格好良いですが、手持ちのレンズラインナップを考えるとクロームメッキも良いかな。
Ⅲa
DⅢに1/1000が、ついていざというときに安心。(精度は??だそうですが)
こちらはシルバーのクロームメッキの外装ですが、バルナックはシルバーも良いと思いますし、実際に見ると凄く可愛いのです。
Ⅲfとの差はさほど大きい訳ではないはずなのに不思議です。
Ⅲf
安心、定番なイメージのⅢf。
機構的にも改良を重ねられて、実用するならこのモデルかなと思います。値段もまだまだ手頃。
実用性を重視するならこのⅢfかⅢgかな。
Ⅲg
バルナックライカ最終機。
ファインダーにブライトフレームが入り、パララックス補正も付いた。
その分大型化していますが、ファインダーはバルナックの中で一番見やすそうです。
90mm枠もあるので、別途90mmファインダーを用意しなくてよいのも◎。
シャッタースピードが倍数系列になっているのも地味に嬉しい。
使いやすさでいうと一番では。
今回は予備機としての機能を重視した結果、機械的に安定していそうなⅢfかⅢgにまずは絞られました。
可愛がるならDⅢ、Ⅲaが良いなと思います。
F or G
バルナックライカを購入するにあたり気になっていたのはファインダー。
古いカメラの接眼レンズはレンズが小さく、眼鏡を掛けているとファインダー視野の中心しか見えない事が有るため、バルナックライカに手を出しづらい一つの原因となっていました。*1
メインは35㎜になると思われるので、どちらにせよ外付けファインダーを取り付ける事になりますが、50㎜も快適に使いたい。
ブライトフレーム式のⅢgなら流石に見やすいのだろうか?
この時点で内蔵ファインダーがちゃんと使えそうならⅢf、厳しいならⅢg、そう決めてカメラ屋さんに向かいました。
案外ちゃんと見える!
さて、いつもお世話になっているカメラ屋さんにはⅢf、Ⅲg共に在庫がありました。どちらも状態は良さそう。
さて肝心のファインダー。
心配だったⅢfのファインダー。以外にも覗いても普通にフレーム全体が見えました。
ずっとキャノンのファインダーのイメージを引きずって来たので驚きました。
流石本家本元・・・。
皆さん普通に使ってらっしゃるわけだなと。
案ずるより産むが易し、というやつですね。
手のひらにスポッと収まるサイズも凄く良い。
一方のⅢg。
ファインダーはやはりブライトフレームが入るのでとても見やすい。覗いていてテンションが上がる感じ。
フレーミングの正確さも圧倒的にこちらでしょう。比較してしまうとⅢfは結構おおらかな視野なのが分かるくらいです。
シャッターダイヤルが倍速系統になって居たり、絶対的な使いやすさはこれだなと思いました。
流石最終形態。
ただしその分ゴツくて(それもまた良いのだけど)少々お高い。
例によって散々店頭で悩んだ挙げ句選んだのがⅢfでした。
・35mm主体で運用することになるので50mmファインダーの優先順位は高くなく、コンパクトな方が良い。
・散財が続いているためお値段がやすいと助かる。
・バルナックらしいスタイルでかわいい。
・置いてある個体の距離計がやたら見やすい。
最後のが割と効きました。
結局は予定通りですが、割といい加減な選択理由な気も。
外観。
Elmar3.5cm / 外付け35mmファインダー(SBLOO) / 絞り操作フード(FB-07)
私的基本セット。
ダイヤル・レバーが沢山が素敵。バルナックらしいくて良いなと思う。
3つ目。
3つ目の中央がビューファインダー。左右に並んでいる丸いのが距離計窓。
SBLOO(35mmファインダー)って単体で見るとさほど大きく思わないのですが、Ⅲfにセットすると結構存在感が。
上面。
筆記体ロゴはやはり良いなぁ。
ダイヤルが沢山。ローレットも綺麗。
所謂レッドシンクロと言われる後期型の個体です。
シャッターダイヤルの下にコンタクトナンバー設定用のノブがポイント。
ストロボ等との同調タイミングを設定するための物のようですが、余り使う機会はなさそう。
でも、刻印が増えて何だか好きです。
これを見た家族が軍艦みたいにごちゃごちゃしてると。
家族はカメラには詳しくなく、当然”軍艦部”という言葉は知らないわけですが、本当に良い例えだなと思います。
巻き上げ、巻き戻し共にノブ式。レバー/クランク式に比べると速写性は劣りますが、巻き上げてる感が有ってこれはこれで楽しいです。
セルフタイマー部分。
実機を見て気に入った機構です。
セルフタイマーレバー根元部分の右側にある切り欠きを見て、なんだこれ?と思ったのですが・・・。
実際にセットすると右側にあるボタンに切り欠きがハマってロックされるのです。 このボタンを押し込むと引っかかりが外れてセルフタイマーがスタートします。
構造上最大時間でしか止まらないわけですが、独特なデザインで好きです。
気にしていたファインダーの接眼部。
小さいは小さいのですが、実機を見るとキヤノンⅣsbよりは大分大きかった。お陰でアイポイントに余裕があるのでしょう。
構図の用とピント合わせのファインダーが別れている二眼式。
左側の距離計でピントを合わせて右側のフレームで構図を調整。(50mm時)
僅かな視点移動で出来るようになっている。感覚的にはミラーのEVFとの拡大表示を使う時の感覚と似ている気がします。
外付けファインダーだと大分離れてしまいます。
フィルムセットについて。
バルナックライカはフィルム装填にひと工夫が必要です。カメラ背面が開かない関係でフィルムゲートや奥側のスプロケットに引っかかってしまう為、フィルムを少々加工します。
加工というと難しそうですが、フィルムの先端部分を一部切り取るだけ。
上がカットしたフィルム、下が通常の物。先端の細くなっている部分が長くなっています。
フィルム先端の細くなっている部分を延長する要領で、ハサミでチョキチョキすれば問題ないと思います。
パーフォレーション(両端に空いているフィルムの穴)の間を避けて、途中でバリ(切れ込み)を作らないように滑らかな断面にすることがポイント。
途中に切れ目が有るとそこからフィルムが裂けてしまうことが・・・・。以前プロビアを真っ二つにました。
裏ワザ*2も有るには有るのですが、個人的にはおとなしく切ったほうがトラブルにならないかなという気がしています。
カットするのにフィルムカッターガイドを使う方法も。
上の写真で重しにしているのがフィルムカッターガイドです。
金属製のこのガイドにフィルムを挟んで後はガイドに沿ってカッターでサクッとカット。
試しに購入しましたが楽でした。私はこれを使って何本かあらかじめ加工しています。
懐に余裕がある方はライツ純正の”ABLON”を買うと宜しいかと。
使用イメージ等、この記事が分かりやすいですね。
値が張りますが、作りは凄く良いのでしょう。
実用にはUNX-8624で十分なのですが・・・やっぱり気になる不思議。
結局ほしくなるのだったら最初からこっちにした方が良いんでしょうけどねぇ。
簡単にフィルムの装填方法を。
加工したフィルムをスプールに挟みます。
シッカリ奥まで差し込むとと矢印が!
そしてその状態でカメラに差し込みます。
後は普通のカメラと同様に巻き戻しノブを操作してフィルムをはり、巻き上げノブできっちり巻き取ってから蓋を閉めればOK。
スプロケット(赤矢印部分)のギザギザにシッカリフィルムのパーフォレーションが噛んでいる事が大事。ここの確認を怠り1日エア撮影をする羽目になったことが・・・。
後は数度数回巻き上げ・シャッターを切れば準備OK。巻き上げたときにちゃんと巻き戻しノブが回っていれば、フィルムセット成功です。
ここもバルナックライカの弱点と言えなくもないですが、慣れれば案外問題ないのです。
長くなってしまったので、撮影記事はまた後日。
*1:直接の原因となっているのは自宅に転がっている古いCanonのレンジファインダー (Ⅳsb?)がそれはそれは接眼部が小さく、眼鏡を掛けていると距離計像くらいしか見えないのです。
一応構図確認用のファインダーと距離計が纏まった一眼式らしいのですが・・・。
という訳で私の中のバルナック型のイメージは眼鏡にやさしくない!となってしまていたのでした。
*2:裏技
私の知る限り2つの方法が有るようです。
①テレホンカードを仕様する方法。
テレホンカードをフィルムゲートとスプロケット部分をカバーするように差し込み、
その状態で未加工のフィルムを差し込む方法。
私はこの方法でやっていましたが、やり方がマズかったのかフィルムの切れ端が結構出てしまいシャッター動作不良を起こしてしまったので止めました。
②シャッターを開放した状態でフィルムセットを補助する方法。
タイム露出を使用してシャッターを開放、レンズマウントから手を指を突っ込んでフィルム挿入を補助することで引っかかりを回避するようです。
個人的にはシャッターの部分に指を突っ込むのが大丈夫な状態と分かっていても怖くて試せていません。でも、出先でなんとかフィルムを装填したい時に覚えておくと役立ちそうです。
双方とも問題なく運用されている方はいらっしゃるようなので慣れの問題でしょう。