今日もカメラと。

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RolleiFlex Original ~始まりの二眼レフ~ -前編-

ローライフレックス

どのモデルも、使っていてとても楽しいカメラです。

 

最近のお気に入りはスタンダードです。

構造がシンプルなためか軽く小柄、デザインも素晴らしい。

シャッターチャージとフィルム巻き上げが別々に操作する必要があるので、油断すると失敗する可能性も高かったりもしますが、その分操作は楽しいです。

撮影テンポも必然的に穏やかになるので、休日のんびり撮るのに最適だなと思います。

ノンコートのF3.5テッサーも本当に良く写ります。

 

kei-arika.hatenablog.com

 

kei-arika.hatenablog.com

 

ローライフレックスの怖いところはレンズバリエーションが気になってくるところ。

モデルによって違うのは当然として、同じモデルでもバリエーションが存在するのです。

テッサー、トリオター、ビオメター、プラナー、クセナー、クセノター。

さらに、開放F値違いも存在するので大変です。

スタンダードのテッサーにもバリエーションがあり、所有するF3.5以外にもF3.8やF4.5のテッサーが付いているモデルが存在します。

3.8の描写は柔らかくて、とても良いらしい。

4.5も3.5以上にしっかり写るとか・・・。

果てして私ごときに違いが判るものなのかは分かりません。

それでも、欲しくなってしまうのです。

 

しかし、ただでさえ綺麗なものが少ないスタンダードの中でも3.8と4.5はあまり見かけません。

状態が良いものが出てきたら買うしかないな!

そう思い、ネット在庫やオークションをチェックする日々です。

 

 

 

遭遇。

 

そんな中、久しぶりに出かけたカメラ店にそれは存在したのでした。

ローライフレックスオリジナル。

それは店頭のショウウインドウの隅にひっそりと存在しました。

目が合った。そんな感じでした。

3.8のテッサー付き。外見はとてもきれい。

レンズも曇っているし全体的に動きが渋いけど、シンプルなカメラだからなんとかなる可能性は高いかな。

正直オリジナルは使用フィルムが少々特殊なので倦厭していましたが、現物を見る事これはで格好良い。

うーん、良いなぁ・・・。

気づくとカメラの入った紙袋を下げていたのでした。

 

 

RolleiFlex  Original

1928-1932年製造。

90年以上前のカメラです。

ステレオカメラであるローライドスコープをベースに開発された金属製小型二眼レフの元祖。

ロールフィルムを使った金属製の二眼レフはこのモデルが最初らしい。

一般的に"二眼レフ"と言って思い浮かべるカメラのご先祖様と言えるでしょう。

基本的な構造はこの時点で既に完成しているように思います。

使用フィルムは現存している120フィルムではなく、117フィルムを使用。

フィルム幅自体は一緒なので何とかスプールを確保(120用を加工しても可)して巻き直せば使用可能です。※ 後述

 

 

 

巻き上げはクランク式ではなく、ノブ式。ピント調整ノブと共に右手で操作します。

この操作系はローライコード系に受け継がれ、後継のスタンダードからは巻き上げはクランク式で右手、ピントノブは左手側に移るのが面白いですね。

 

フィルム送りは赤窓式。

巻止めや、多重露光防止装置なども当然ついていないので、赤窓からフィルム裏紙の数字を見て自分で止める必要があります。

機械的な影響を受けないのでコマ間に悩まされることも無いです。

赤窓にはカバーが有ったものと思われますが、付属せず。

後のベビーローライ、スタンダードの初期型とも互換性は無し。

流石にこれを入手するのは困難でしょう。

最も、フィルム送り時毎回赤窓を確認する必要が有るので感光で困らない限りは付ける必要は無いかと思われます。

 

レンズ周り。

ビューレンズはスタンダードと一緒の28.5mmですが、テイクレンズはスタンダードよりも小さい為、アクセサリー類の使いまわしは出来ません。

専用フードも存在するらしいのですが情報が全くない。

 

レンズ周りにはカバーが付いておらずレンズシャッターが直に見えます。

シャッター速度・絞りはレンズ周りのダイヤル・指標で設定。

レリーズはシャッターボタンではなく、レンズ周りのレバーを操作。

このころはまだチャージとレリーズが分かれています。

スーパーイコンタ等、この時代のレンズシャッター機では一般的ですね。*1

 

巻き上げもシャッターもシンプルなのでとても軽いです。

壊れにくそう。

 

テッサー7.5㎝ F3.8付。F4.5付のモデルも存在します。

レンズ銘が正面でなく鏡胴脇に。

なんだか良い。

 

 

有り難いことにレンズキャップが付属していました。

ひもで本体に繋がっています。

造りも凄くしっかり。ダイキャストの物に金具がはめ込んであり、さらに外周が当たる部分には別珍が貼ってある凝ったもの。

刻印も無いので、単体では何のキャップか分からない。

こののちに出るベビーローライ用のキャップは同様の作りで刻印入りです。

スタンダード用はプレス加工の物へと変わっていきます。

 

ちなみにビューレンズ脇の金具はケーブルレリーズを収納する場所だそうです。

 

ピントフード回り。

正面銘板部分のロゴが素敵。

この書体が好きなのでスタンダートも戦前ベビーも銘板部分はなるべく綺麗な個体が好みです。

 

ピントフードは手前のレバーを操作すると展開されます。

スタンダード以降より少し複雑な機構。

 

古いローライフレックス・コードを持っているとそれぞれのシリーズで改良されたものがもう一方に反映され、だんだんシンプルで簡単に操作できるように改良されていくのが分かるので面白いです。

 

ファインダーとルーペ。

視野は暗いですがしっかりピント合わせが出来ます。

右下には水準器付き。

スタンダードの初期型のF3.8、F4.5のモデルには搭載されず、後期型のF3.5のモデルには再び水準器が戻ってくる。

 

フィルムについて。

117フィルム。

このフィルムに関して調べてみましたが情報があまりありません。

運良く117フィルム用と思われるスプールが付属していたのですが、同等のモノを買い足そうと探しても全く出てきません。

ebayには3Dプリンターで作ったと思われるものなら見つかったがとにかく現物が無い。

 

 

Wikiによると、

 

6×6cm判で6枚撮り用ロールフィルム。フィルムの幅は120フィルムと同じだがスプールの幅は少し狭い。フランケ&ハイデッケのローライフレックス初期のモデルはこのフィルムを使用するようになっていたが早期に120フィルムに移行して廃れた。ブローニーNo.1とも呼ばれ、アグフアによる呼称では1B。

 

ja.wikipedia.org

との事。

117フィルムは初期のロールフィルムの多くが生産終了となった1949年3月、同時に廃番となっている

廃版になってから70年以上経過しています。それは無い筈ですね。

当時120フィルムは6x9判用(遮光紙に6x6判用の数字も振っていなかった)だったので、6x6用として存在した117をローライフレックスオリジナルは採用した模様。ただし、6枚撮り。

カメラに付属していた貴重なスプールを観察すると、軸の太さは120と一緒でフランジは径が小さい。

元来6枚撮り用だからか・・・。

120のフィルムを巻き付けてみるとフィルムがフランジを超えてはみ出してしまいます。

カメラにセットするとフィルム室ピチピチになってしまい、フィルムがスムーズに引き出せませんでした。

フィルムが多すぎるようです。

フィルムを若干カットして短くすれば使えそうですが、フィルムが高騰している現在凄く抵抗があります。

 

代替として620フィルムが使えるとの情報も。

ja.wikipedia.org

 

こちらもフィルム自体は120と一緒らしい。

620フィルムは12枚撮りを想定したもの。

フランジはやはり小さいが軸が細いので巻き直せば普通に撮影できるものと思われます。

割とメジャーでコダックで製造を辞めたのがベスト判(127フィルム)と同時期らしく、スプールもちょこちょこ見かける。

入手して試してみましたが、残念ながら私の個体は非対応らしく、装着できませんでした。

ヤフオクなどで出品されている個体には620らしきスプールがセットされている個体も有るので使える個体は有る模様。

 


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ローライフレックスオリジナルの巻き上げ側のスプールをセットする部分。

スプールの溝の入る部分は後のスタンダードと同様ですが、フィルム室が狭い為スプールをセットできません。

 


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これは古いローライコードの巻き上げ側。

120フィルムと620フィルムがセットできるので、スプールの溝に入る部分に段が付いています。

小さくなった部分に620の狭い溝が引っかかります。

620フィルムに対応しているSuper Ikonta 530/2も同様の形。

オリジナルの対応機種は同様の構造になっているものと思われます。

 

 

フィルムはどれも中身は同じフィルムが使えるようですが、難しいですね。

オリジナルはスタンダードに比べても情報が少なく、使っている人もあまり見かけないだけに、一筋縄ではいきません。

とりあえず私の個体は117スプールを使うしかないようです。

1つはオリジナルスプールが使えますが、もう一つは120用を加工して使うことにしました。

現行コダックのスプールにはフランジの部分に溝があり、その部分へPカッターを入れカットするといい感じに仕上がりました。(正確にはオリジナルスプールよりフランジが1㎜程直径が小さくなったのでもう少し詰める余地あり。円の外周を削るのに良い工具、無いですかね?)

問題はフィルム。そのままでは収まりません。

フィルムカットすれば簡単なのですが勿体ないので何とかならないものかと。

 

全部巻いたときに太くなりすぎなければ良い・・・長さを縮められないなら厚みが薄いフィルムならなんとか使えないか?

 

それで思い出したのは富士フィルムのアクロス。製造中止になった古い方です。

以前、ローライフレックススタンダードでフィルムが薄いのでコマ間が出ないと教えていただいたフィルム。

試しに巻いてみるとやはり少しフランジを超えているものの、大分おさまりが良いようです。

カメラにセットしても何とかフィルム送りができそうです。

最初の数コマ感光するおそれは有りますが試してみる価値は有りそうです。

幸い旧アクロスは廃版前に確保したものがまだ残っています。

こうして、ようやく試写へ漕ぎつけたのでした。

 

 

【長くなったので後編へ。物撮りなどが済んでいないのでしばしお待ちを。】

*1:余談ですが、後のワンレバーの機種も実は内部的に2つのレバーを操作しているだけだったりします。

オリジナル後に出た戦前型のベビーローライはワンレバー方式になりましたが、シャッター周りにカバーが付いていない為、レバーの倒し方でオリジナルと同様の操作をしているのが分かります。


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戦前ベビーのテイクレンズ周り。短くて分かりにくいですが、チャージ・レリーズ用の突起に操作レバーと連動する板金が引っかかっています。