さて、後編、試写編です。
使用フィルムはフジのACROS(旧)。
第一試写。
クロアゲハの死骸。
しょっぱなから何を撮っているのだろう。
寄れないので何かわかりずらい。プロクサー!プロクサーは何処!!
絞り開放ですが、ピントは有っているかな。
コンクリートの描写も良いのではないかと!
いつもの看板。F13位。
最高速度の1/300はなるべく使いたくないので1/100にすると晴天下では必然的に思いっきり絞ることになる。
流石テッサー、写りはバッチリ。なにも文句はない感じ。
F4.5。良いね、この感じ。
竹。モノクロで撮ると凄くいいのよね。
竹の微妙なグラデーションがモノクロにマッチするのでしょうか。
これもバッチリ。良いなぁ。
野川。サギが居る。
F5.6位かな。
F4.8位?白い花はモノクロ映えする。
絞り開放。捨てられたペットボトルを写した模様。
SS1/25ですが流石にブレた。でも、水面の描写やペットボトルの透明感の描写は良いな。
調布飛行場を見下ろせる丘。
好きな場所です。F6.7くらい。
ぼーっとしていてフィルムを巻き上げたかわからなくなり再度巻き上げて1コマ無駄にした以外、普通に問題なく写ってしまった。
フィルムのまき直しに伴う感光らしきものも無し。
絞ってもきつすぎず、さりとて解像度が低いわけでない感じ。
良い。
続いて第二試写。
最初の三コマに感光が発生。
巻き直したフィルムをセットする時、うっかり手が滑り落としてしまった時に巻きが緩んでしまったのですが、その時の影響が出た模様。
無理やり12枚撮りにしているので取り扱い注意ですね。(巻きがスプールのフランジを超えているので)
4コマ目から問題無し。
絞りは僅かに絞ったF4。噂通り3.5テッサーより柔らかい描写のような気もする。
ただ、フィルムが違っているので単純比較はできませんね。
フィルム・現像・撮影条件を合わせてようやく厳密な比較といえるでしょう。
もしくは数をこなして大体の傾向を掴むか。
デジタルならいざ知らずフィルムで描写比較をするのは凄く難しいです。
撮影時間が夕方だったため、絞り開放で。
シャッター速度が厳しいですが、ギリギリ止まっているかな。
流石に周辺は緩い。でも拡大しないと気にならない。
ちゃんと写るよなぁ。
別の日に上野。
晴れたので思いっきり絞っている。
精密な写り。
スタンダードの時も思いましたが、90年前のカメラとは思えない写り。
テッサー凄い。当時の一級品を甘く見てはいけないなと思います。
フィルムの問題さえクリアできれば普通に使えますね。
こういうカメラを使いこなしてちゃんと写っていると嬉しくなります。
やはりきつくなりすぎない感じは3.8テッサーの写り噂どおり・・・という気もします。
いつも使っているフィルムでちゃんと比較したいものですが・・・。
3.8テッサーを使いたいのなら120フィルムがそのまま使えるスタンダード初期型を選んだほうが良さそうです。
フィルムは現行品で使えるものを探したいものです。
ACROSⅡはどうなのだろう。今度試してみよう。
スプールについて補足。
スプールのサイズを計測してみました。
何かのお役に立てると幸いです。
私が慣れないノギスを使って計測したので大体の大きさとお考え下さい。
120用スプール
幅:66.5mm / フランジの直径:25㎜ / フランジの厚さ:1.4㎜ / 軸の太さ:11.5mm / 巻取用溝の長さ:10.3mm
※ 写真はコダックのもの。フランジ外周に溝の部分からカットすると大体117に近いサイズのスプールが出来ました。下にある”117スプール(自家製120改)”はこの方法で作ったものです。
117用スプール
幅:66.5mm / フランジの直径:22㎜ / フランジの厚さ:1.4㎜ / 軸の太さ:11.8mm / 巻取用溝の長さ:11mm
オリジナルスプール。これ一本しか所有しておらず、怖くて使えない品。
フランジの直径以外は概ね120と一緒。これを基準に120スプールを加工します。
117スプール(自家製120改)
幅:66.5mm / フランジの直径:21.2㎜ / フランジの厚さ:1.4㎜ / 軸の太さ:11.5mm / 巻取用溝の長さ:10.3mm
120スプール加工品。コダックフィルムのフランジを切って直径を小さくして作成。
オリジナルより1.8mm小さくなってしまいましたが、まあギリギリ問題ないようです。
ただ、120フィルムを12枚撮りのまま詰め込む場合は巻がフランジを超えるので、次回作成時はもう少し追い込みたいものです。
円周の外側を綺麗に削る工具とかないものかしら・・・。
620スプール
幅:63.8mm / フランジの直径:23㎜ / フランジの厚さ:0.5㎜ / 軸の太さ:7.4mm / 巻取用溝の長さ:6.4mm
フランジが薄く、幅が狭い。
軸も細い為、120フィルムをそのまま巻き直しても問題ない。これが使えれば楽だったのですが・・・。
比較するとこんな感じ。
左から120、117、117(120改)、620。
620は軸が細く、フランジも薄いのが分かる。
最後に。
カメラの完成度は高いので全く問題なく使えてしまいました。
試写自体よりはフィルムの準備の方がちょっと面倒です。
とはいえフィルム自体は120と一緒ですし、そもそもロールフィルムを使えている時点で楽しみやすいカメラ。これよりさらに古いカメラとなるとロールフィルムが使えなくなって一気に難易度が上がるように思います。
ギリギリ気軽に楽しめる範囲のカメラといえるのではないでしょうか。
実はこのカメラを入手したのは2022年の春ごろ。
それから修理、試写、現像、データ化に時間をくい、更に物撮りがなかなできず気づけば1年以上が経過してしまいました。
変に凝り性なのも遅くなった原因。いろいろ詰め込んで収集が付かなくなってきたり・・・。
自室があまりに汚い為、物撮りがはかどらず、なかでもスプールの部分がなかなか完成しなかったため、概ね完成していた部分を先行して公開しました。
何とか完成してよかったです。
フィルムの問題さえクリアできれば普通に使えて楽しいカメラ。
今後の課題は旧ACROS以外の使用可能なフィルムを探すことでしょうか。
しかし、古いローライは本当に魅力的です。
可愛いデザイン。しっかりとした造り。写りもばっしり。
物欲も限りなく・・・。
3.8テッサー付きオリジナルを入手してでひと段落かと思いましたが、まだまだそんなものではすみませんでした。
水面下で大分バタバタしておりますが、それはまた別の話。
いつかまとめられると良いのですが(笑)